「あれ?今月は生理前のイライラや胸の張りがない…」
妊活をしている女性なら、一度はそんな変化にハッとしたことがあるのではないでしょうか。
特にこれまでPMS(生理前症候群)が強く出ていた人ほど、その症状が突然なくなると、
「もしかして無排卵になったのでは?」
「ホルモンのバランスが崩れたのかも…」
と、不安になってしまうものです。
でも、安心してください。
PMSがなくなった=無排卵、とは限りません。
実はその変化、あなたの体が「整ってきたサイン」であることも多いのです。
この記事では、PMSが突然なくなったときに考えられる原因や、排卵の有無を見極めるポイント、そして妊娠しやすい体づくりの方法について、妊活アドバイザーである私・中村和仁が分かりやすくお話しします。
不安を希望に変える第一歩として、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
- PMSが突然なくなったときの体の変化と、その原因
- 排卵の有無を基礎体温から読み取るポイント
- 病院に行く前に見直したい妊娠しやすい体づくりの方法
PMS(生理前症候群)とは?その役割と意味を知ろう
まず、PMS(Premenstrual Syndrome:生理前症候群)とは、
生理が始まる3〜10日ほど前に現れる、心と体の不調のことをいいます。
症状は人によってさまざまですが、代表的なものには次のようなものがあります。
- イライラ・気分の落ち込み・集中力の低下
- 胸の張りや痛み
- むくみ・体のだるさ
- 頭痛や眠気・便秘など
これらの症状は、ホルモンの変化が関係しています。
排卵後、女性の体内では「エストロゲン(卵胞ホルモン)」に代わって、
「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が優位になります。
このプロゲステロンは、受精卵を着床しやすくするための温かく柔らかな子宮環境をつくるホルモン。つまり、妊娠の準備を整えるための大切な働きをしているのです。
ただ、このホルモンの変化に体がうまく対応できないと、
脳や自律神経に影響が出て、イライラや不調が現れる――それがPMSの正体です。
ですから、PMSがあること自体は、ある意味「排卵している証拠」でもあります。
一方で、PMSがなくなった=必ずしも排卵していないというわけではありません。
ホルモンの分泌や体の受け止め方が穏やかになったり、
体質が改善されたことで、PMSが軽くなる方も多いのです。
PMSが突然なくなったときに考えられる3つの原因
これまで毎月のように感じていたPMSが、ある時を境に「ピタッ」となくなった――。
そんな変化は決して珍しくありません。
その理由には、良い意味での体質変化もあれば、ホルモンバランスの乱れが関係している場合もあります。
ここでは、その代表的な3つの原因についてお話しします。
① ホルモンバランスが整ってきた(体質改善・ストレス軽減)
PMSが軽くなった、または消えた場合、最も多いのがこのケースです。
生活習慣の改善やストレスの軽減、体の冷えや血流の改善などによって、
ホルモンの分泌が安定してくると、PMS症状は自然と和らぎます。
これはまさに「体が整ってきたサイン」。妊娠しやすい状態に近づいているとも言えます。
「最近よく眠れるようになった」「食事や運動を見直した」「ストレスを減らした」
こうした小さな変化が、ホルモンバランスを整える大きな力になるのです。
② 黄体ホルモンの分泌低下による排卵機能の低下
一方で、PMSが急になくなった背景に、排卵後の黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌低下がある場合もあります。
排卵していても、黄体の働きが弱いと、
高温期が短くなったり、体温がしっかり上がらなかったりします。
その結果、PMS症状が出にくくなることがあるのです。
これは一時的なことも多いですが、
もし高温期が7日以内で終わる、あるいは基礎体温の上昇が緩やかすぎる場合は、
「黄体機能不全(おうたいきのうふぜん)」の可能性もあるため、早めにチェックしておきましょう。
③ 自律神経や甲状腺など、ホルモンリズムの変化
体のホルモンバランスは、脳(視床下部・下垂体)と卵巣の連携で保たれています。
このバランスが乱れると、PMSや排卵のリズムにも影響が出ます。
特に、強いストレス・睡眠不足・急な体重変化・冷えなどがあると、
自律神経の働きが乱れ、排卵がうまくいかなくなることも。
また、甲状腺ホルモンの異常(機能低下・亢進)も、月経リズムやPMSに影響を及ぼします。
最近、疲れやすい・眠れない・むくみが強い・体重が増えやすい、などの変化がある場合は、
一度、内科や婦人科で血液検査を受けてみると安心です。
PMSがなくなったときは、体が整ってきている可能性もあれば、
一時的なホルモン変化のサインである場合もあります。
大切なのは、「なくなった」という事実に一喜一憂せず、
基礎体温や体調の変化を丁寧に観察することです。
基礎体温で見る排卵の有無:ギザギザでも二層ならOK?
妊活を始めた方の多くが取り入れているのが、基礎体温の記録です。
朝、目が覚めてすぐに体温を測るだけで、排卵の有無やホルモンバランスの状態を知る手がかりになります。
「グラフがギザギザしていて分かりづらい…」「二層になってる気もするけど、これでいいのかな?」
そんな不安を感じている方も多いでしょう。
でも、安心してください。
グラフが多少ギザギザしていても、二層になっていれば排卵している可能性は十分にあります。
◆ 二層に分かれるとはどういうこと?
基礎体温は、排卵を境に低温期と高温期の2つの層に分かれるのが特徴です。
- 低温期:月経の終わりから排卵まで。体温は36.2〜36.5℃前後。
- 高温期:排卵後から次の月経まで。体温は36.7〜37.0℃前後。
排卵後に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で、体温が上昇します。ですから、高温期がしっかり続いているということは、排卵して黄体が働いている証拠なのです。
◆ グラフがギザギザしていても問題ない理由
実際の体温グラフは、教科書のように滑らかにはいきません。
睡眠不足やストレス、測定時間のズレ、布団の厚さなどによって、1日の体温は簡単に上下します。
つまり、多少のギザギザは誰にでも起こる自然な揺らぎ。
「ギザギザしている=排卵していない」ではないのです。
ポイントは、全体として低温期→高温期にしっかり切り替わっているか。高温期が10日以上続いていれば、排卵は起こっていると判断できます。
◆ 排卵日の見極め方とタイミングのコツ
排卵日は、低温期の最後の日または高温期に切り替わる直前が目安です。
この時期に合わせてタイミングを取るのが、妊娠の近道になります。
ただし、排卵の“瞬間”を正確に捉えるのは難しいため、
排卵予定日の2日前〜当日に仲良しの時間を取るのが理想的です。
精子は体内で2〜3日生きますが、卵子の寿命は約1日。
つまり、「排卵を待つ精子」を用意しておくイメージがベストです。
また、基礎体温だけで判断が難しいときは、排卵検査薬を併用するのもおすすめです。
体のサインを組み合わせることで、より正確に排卵を捉えられるようになります。
基礎体温は、あなたの体が毎日教えてくれている「自然の声」。
グラフを眺めながら、体のリズムを感じ取ってみてくださいね。
次の章では、
「排卵しているのに妊娠しない…」と感じている方が見直すべきポイントをお伝えします。
排卵しているのに妊娠しない…そんな時に見直したい3つのこと
「基礎体温も二層になってるし、ちゃんと排卵もしているはずなのに、なかなか授からない…」
そんなお悩みを抱える方も少なくありません。
妊娠は、排卵があれば自然とできるというものではなく、
そこには受精・着床までの“繊細な流れ”があります。
ここでは、排卵しているのになかなか結果が出ないときに、
ぜひ見直していただきたい3つのポイントをお伝えします。
① タイミングの取り方を見直す
妊娠のためのタイミングというと、「排卵日当日」がベストだと思われがちですが、
実は排卵の1〜2日前に仲良しをしておく方が、妊娠率は高いのです。
理由は、卵子の寿命が約24時間と短いのに対し、
精子は体内で2〜3日生きるためです。
つまり、卵子が排卵される前から精子が待機している状態が、最も理想的なのです。
排卵検査薬で陽性が出たら、その日と翌日の2日間を目安にタイミングを取ってみてください。「排卵日を狙う」よりも、「排卵の前に準備する」ことがポイントです。
② 子宮と卵管のコンディションを整える
受精卵が着床するためには、子宮や卵管のコンディションがとても大切です。
どんなに質の良い卵子と精子が出会っても、着床できる環境が整っていなければ妊娠は成立しません。
特に注意したいのは「冷え」と「血流」。
体が冷えていると、子宮や卵巣への血流が悪くなり、ホルモンや栄養が届きにくくなります。
意識したいのは、次のような日常の工夫です。
- お腹・腰・足首を冷やさない(腹巻き・靴下・湯船)
- 白砂糖・カフェインを控えめに
- ストレッチやウォーキングで血流を促す
また、卵管の詰まりや癒着があると、受精の妨げになることもあります。
妊活が半年〜1年以上続いている場合は、子宮卵管造影検査を受けてみるのも良い判断です。
③ パートナーの体調と生活習慣もチェック
妊活というと女性の問題に目が向きがちですが、
実は、不妊の原因の約半分は男性側にもあるといわれています。
精子の質は、生活習慣やストレスの影響を受けやすく、
睡眠不足や喫煙、アルコールの摂りすぎ、過度な疲労が続くと、数や運動率が低下することもあります。
ご夫婦で一緒に体を整えることが、妊娠への一番の近道です。
「二人の妊活」と考えて、栄養バランスの良い食事や規則正しい生活を意識してみましょう。
妊娠は、体と心のタイミングが合ったときに訪れます。
奇跡でも何でもありません。 焦らず、自分の体を信じて、小さな変化を積み重ねていきましょう。
病院に行くタイミングは?半年で授からない場合の目安
「半年ほどタイミングを取っているけれど、まだ授からない…」
そんなとき、「そろそろ病院に行った方がいいのかな?」と迷われる方は多いと思います。
けれども私は、特別な理由がない限り、すぐに病院へ行く必要はないと考えています。
というのも、病院に行ったからといって、すぐに妊娠できるわけではないからです。
排卵があり、生理が定期的に来ているなら、体はしっかり働いているということ。焦る必要はありません。
◆ 病院に行く前にできることは、まだたくさんあります
不妊治療の初期段階で行われる「タイミング法」や「人工授精」は、
基本的には自然な夫婦生活の延長にあります。
排卵日を見極めて夫婦のタイミングを取ることは、
自宅でも十分にできることですし、むしろ心身がリラックスした状態で行えるのは大きなメリットです。
特に3人目を希望している方のように、妊娠・出産の経験がある場合は、
体のベースがしっかり整っていることが多いです。その場合は、病院へ行くよりも、夫婦の時間を増やすことの方が自然妊娠の確率を高めるでしょう。
◆ 病院を頼るべきなのは、こんなとき
- 生理周期が大きく乱れている
- 基礎体温が二層にならない、または高温期が極端に短い
- 生理痛が重くなった、経血量が急に減った
- 1年以上試しても授からない
こうした場合は、体からの「ちょっと見直してほしい」というサインです。その際には、一度検査を受けて「体の今」を確認するのも良いでしょう。
ですが、そうでない場合は、病院に行くこと自体が目的にならないようにしてほしいのです。
◆ 体外受精が必要なケースを除いては、「夫婦の時間」を大切に
もちろん、子宮外妊娠で卵管采を切除した、とか、重度の排卵障害がある、など、
医学的なサポートが必要なケースでは、体外受精などの治療が力になります。
しかし、それ以外の多くの方は、自然なタイミングで授かる力を持っています。焦らず、夫婦で寄り添いながら、心と体を整えていきましょう。
「病院に行く前にできること」――それは、
自分の体をいたわり、パートナーとのつながりを深めることです。
それが何よりの“妊娠力アップ”につながります。
自然な妊娠を叶えるために、今日からできる“体づくり”
「病院に行くより、自分の体を整えることから始めたい」
――そう思われた方へ。
自然な妊娠を叶えるために大切なのは、特別なことではありません。“妊娠しやすい体”は、日々の積み重ねの中でつくられるのです。
ここでは、妊娠を望むすべての女性に意識してほしい、今日からできる体づくりのポイントをお伝えします。
① 冷えをとり、血流を整える
妊活の大敵は、何といっても冷えです。冷えていると、子宮や卵巣の血流が悪くなり、ホルモンや栄養が十分に届かなくなります。
冷えを改善するためには、まずは次のような習慣を意識してみてください。
- お風呂はシャワーではなく、湯船にゆっくりつかる
- 白砂糖・カフェイン・冷たい飲み物を控える
- 腹巻きやレッグウォーマーで下半身を冷やさない
- 軽い運動(ウォーキング・ストレッチ)を毎日続ける
血流が良くなることで、ホルモンバランスも自然と整っていきます。身体の“温かさ”は、心の“やすらぎ”にもつながるのです。
② 食事と睡眠でホルモンの土台をつくる
妊娠しやすい体をつくるには、栄養と休息が欠かせません。
特に意識したいのは、ホルモンの材料となるたんぱく質と脂質。ダイエットや偏った食事で不足しがちな栄養素です。
- 鶏むね肉・卵・豆腐・魚など、たんぱく質をしっかりとる
- 亜麻仁油・えごま油など、良質な油を摂取する
- 野菜は温かくして食べ、体を内側から温める
また、ホルモンのリズムは睡眠の質にも大きく左右されます。夜更かしを控え、できれば23時までに就寝を心がけましょう。
眠っている間に、卵子を育てる「FSH」や「LH」といったホルモンが分泌され、翌朝のあなたの体を整えてくれます。
③ 心の緊張をほどいて、“がんばりすぎ”を手放す
妊活において、見落とされがちなのが心の状態です。
「次こそは」「今回もダメだった」と気持ちが揺れるたびに、体も無意識のうちに緊張してしまいます。
ですが、妊娠は「頑張るほど叶う」ものではなく、体が安心してゆるんだときに訪れる奇跡です。
深呼吸をしたり、好きな音楽を聴いたり、温かいお茶を飲みながら一息つく――それだけでもホルモンは整っていきます。
もしストレスや疲れが抜けにくいと感じたら、整体などで体をゆるめてあげるのも効果的です。
当院でも、体の巡りを整えることで妊娠に至った方をたくさん見てきました。「冷えが取れた」「眠れるようになった」といった変化は、そのまま“妊娠力アップ”のサインです。
まとめ:PMSがなくなったのは「変化のサイン」。不安より、まず体に耳を傾けよう
PMSが突然なくなると、多くの方が「無排卵かもしれない」と不安を感じます。ですが、それは決して悪いことではありません。
PMSがなくなった=体が落ち着き始めたサインであることも多いのです。ホルモンの働きがスムーズになり、体のリズムが整ってきたことで、今まで強く出ていた不調が静かになった――それはむしろ、体が前向きに変化している証拠です。
もちろん、一時的に黄体ホルモンの分泌が低下している場合もあります。ですが、それも体が「休みたい」と言っているだけのこと。体の声に耳を傾けて、焦らず見守ってあげましょう。
◆ 妊娠は「体と心のタイミング」が重なったときに訪れる
妊娠は、医学的な数字だけでは説明できない奇跡です。どれだけ努力しても、タイミングが合わなければ叶わないこともあれば、肩の力を抜いた瞬間にスッと授かる方もいます。
だからこそ、「焦らず、信じること」が何より大切。体は常に、あなたの味方です。
「PMSがなくなった」その変化に気づけたあなたは、すでに自分の体をしっかり見つめる力を持っています。その意識こそが、妊娠力を高める第一歩です。
◆ 最後に:あなたの体は、ちゃんと頑張っています
毎月生理が来ること、体温が二層に分かれること―― それだけでも、あなたの体はきちんと働いています。
必要なのは、「もっと頑張ること」ではなく、「自分をいたわる時間」を持つことです。
お風呂に浸かる、好きな音楽を聴く、パートナーと笑い合う―― そんな穏やかな日常が、体を少しずつ整えていきます。
どうか、あなたの体を信じてあげてください。PMSがなくなったその変化は、「あなたの体が、より自然なリズムを取り戻し始めた」サインなのです。
焦らず、ゆっくり。あなたの中の“命を育む力”は、必ず芽吹いていきます。
- PMSがなくなっても無排卵とは限らない
- 体が整い始めたサインである場合も多い
- 基礎体温が二層なら排卵している可能性大
- ギザギザしていても体温の流れを重視しよう
- 半年妊娠しなくても焦らず夫婦の時間を大切に
- 病院は必要なときだけ、目的を持って受診を
- 冷えをとり、血流とホルモンバランスを整えることが鍵
- 心と体をゆるめることで妊娠力は高まる
- PMSの変化は“体が整い始めた”希望のサイン

